日本写真印刷コミュニケーションズ株式会社

AR・VR|コラム

24.12.12

CMFデザインにおける3DデータによるDX

AR・VR|コラム

24.12.12

CMFデザインにおける3DデータによるDX

プロダクトデザインにおいて3Dデータ活用が普及

プロダクトデザインの現場において近年、3DCGデータの活用が重要になってきています。製品設計においても、従来二次元のCADデータだったものが、3DCADデータに置き換わりつつあります。また、社内や販促における情報共有においても、二次元の画像や動画だけでなく、現物の質感や形状がリアルに把握できる3DCGの活用が増えてきています。CMFデザインの業務においても、製品の3Dビジュアライゼーションは重要となりますが、特に重要なのが製品3DCG表面にリアルな質感を付与する「マテリアルデータ」の活用です。

マテリアルデータとは?

マテリアルデータとは、素材表面の質感を現物通りリアルに再現することができる特殊な画像データで、このマテリアルデータを3DCGの表面に貼り付けることで、3DCGの見た目が圧倒的にリアルになります。 人の目は、物体の質感を「光の反射具合」によって知覚しています。このため、現実世界と同じ光の反射を計算してシミュレーションすることができるような画像データを用意すれば、素材現物のリアルな質感が再現可能 となるのです。 マテリアルデータを制作するには、素材現物を特殊な方法でスキャンすることで可能です。素材現物からマテリアルデータを生成する技術は「マテリアルスキャン」などと呼ばれています。 マテリアルデータの活用は産業界やCMF関連のビジネスに大きなメリットをもたらします。ここでは、ブランドのCMFデザイナー、および彼らにCMF素材を提供する素材メーカーそれぞれにとっての活用メリットを説明します。



ブランドのCMFデザイナーにとってのマテリアルデータ活用メリット|その1:サンプル製作数の削減

一般的にCMFデザインの検討には、アイデアを検証するために多くのサンプル作成が必要です。現物サンプルの作成には時間やコストが掛かり、その数が増えてくると、負担が膨らんでいきます。 このような場合にマテリアルデータを活用することで、実際に現物サンプルを製作する前にバーチャル上で素材を検証することができます。実際に大手の製品メーカーでも活用が進んでおり、質感などCMFの外観を高品質で再現ができていて、事前検証に活用可能なレベルとなっています。また、素材をリアルに3Dデータ化した「バーチャルマテリアルボード」を用意することで、工数を短縮することができます。バーチャル上で一度検証し、吟味された少数の候補のみを実物サンプルとして製作することで、サンプル製作数を減少させることができます。これは、リードタイム短縮・コスト削減だけでなく、廃棄ロスを減らし、環境負荷の低減にもつながるサステナブルな取り組みとなります。

ブランドのCMFデザイナーにとってのマテリアルデータ活用メリット|その2:検証アイデア数の増加

サンプルを3DCGデータに置き換えることによって、従来は不可能だったようなバリエーション数のプロトタイピングを高速で繰り返すことも可能となります。これにより多くのアイデアを高速で検証可能となるため、最終的なアイデアのクオリティもアップすることとなります。

ブランドのCMFデザイナーにとってのマテリアルデータ活用メリット|その3:遠隔でのコミュニケーション効果

現物サンプルが必ずしも必要でなくなるということは、遠隔での情報交換がしやすくなるということです。このため、テレワークがしやすくなることで働き方改革に繋がったり、遠方にいるステークホルダーとのコミュニケーションも円滑化したりすることにつながります。 さらに、言葉のみではどうしても上手くデザインイメージが伝わらずに、完成形との間にズレが生じるといったことがよく起こりますが、リアルなマテリアルデータを適用した3DCGであれば、イメージを直感的に伝えることができるため、コミュニケーションロスを減らすことにも貢献します。

素材メーカーにとってのマテリアルデータ活用メリット|その1:現物送付よりも効率的に訴求可能

ここからは素材を販売するメーカーや商社にとってのマテリアルデータ活用メリットを紹介していきます。 マテリアルデータは、光の反射も含め素材現物にかなり近い外観を再現することができるため、Webサイトを活用した「バーチャル素材見本帳」のようなツールを制作して公開し、多くの顧客へ展開することが可能となります。もちろん、現物の素材見本帳はこれからも必要であり重要な営業ツールであることは変わりませんが、その前段階において、不特定多数の潜在顧客に対してWeb経由で効率的に訴求が可能となりますので、販促効果を大きく高めることができます。またリアルなバーチャルコンテンツを体験してもらうことは、従来の方法と比べると数倍の学習効果が出るとの調査結果が出ているため、Web上に公開し活用することで高い販促効果が期待できます。


素材メーカーにとってのマテリアルデータ活用メリット|その2:顧客側が進めるDXに対応

現在、製造業や建設業、インテリア業界などでは3DCADやバーチャル体験などの活用が急速に進んでいます。製品の完成形をシミュレーションするためには3DCGによってビジュアライゼーションすることとなりますが、そこで重要となるのが、質感をリアルに再現したマテリアルデータの有無です。 今後、素材メーカーとして3DCG上で活用するためのマテリアルデータが用意できていないということは、顧客側での素材検討の選択肢にも入らないという機会損失が起こる可能性が出てきます。素材メーカーとして自社製品のマテリアルデータを用意しておくことは、顧客内部での検討プロセスを円滑化させ、製品の魅力をリアルに訴求することにもつながります。早めのタイミングで製品のマテリアルデータを公開しておくことが、競争力の確保につながると言えます。

CMF素材をマテリアルデータ化する際のポイント

素材現物をマテリアルデータ化する際は、最初から高品質でスキャンし、データを用意しておくことが重要です。もし仮に価格だけを基準にして低品質のマテリアルデータを大量に用意してしまうと、それ自体が新たなレガシーシステム(時代遅れのシステム)を構成してしまい、DX推進の足かせとなって競争力を弱めてしまう結果となります。 長期を見据えた活用を考えると、最初に高精細なマテリアルデータというデジタルツインを用意しておくことが重要です。

まとめ

今回はプロダクトデザインやCMFデザインにおけるマテリアルデータ活用の重要性について説明させていただきました。 当社では高品質なマテリアルスキャンサービスをご提供しておりますので、素材のマテリアルデータ化についてご検討の際は、ぜひお気軽にご相談いただければと思います。


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