日本写真印刷コミュニケーションズ株式会社

デジタル印刷|コラム


22.04.01

改めて解説!高品位デジタル印刷「NDP」とは何か?

高品位印刷を「デジタル印刷」で実現したシステム、それが「NDP」

NDPはNissha Digital Printingの略称です。当社は、1929年の創業時より現在に至るまで、展覧会図録や写真集、豪華装丁の美術本など高品位な美術印刷分野においてお客さまから高い評価をいただいています。NDPは、この高品位な印刷をデジタル環境でも実現するシステムで、デジタル印刷機の独自カスタマイズと永年培った製版技術を基にしたソフトウェアの組み合わせにより実現しています。さらに、昔からある製版フィルムをデジタルデータに置き換える技術を融合させ、DTPデータの残っていない印刷物の復刊を実現しています。
※NDPはNISSHA株式会社の登録商標です。

NDPの特長とは?

1 広い色域

美術書などで培ったカラーマネジメント技術により、オフセット印刷の完全な色調を再現します。初版時はオフセット印刷、重版時はNDPというように、色調や質感を変えることなく併用できます。また、一方で通常のオフセット印刷(CMYK)を超える広色域を表現できます。RGB画像からの出力が可能となり、より鮮やかな印刷が可能です。

2 幅広い用紙に対応

従来の高品位なデジタル印刷では、専用紙でないと印刷できないなど、用紙の選択肢が限られていました。NDPではアート紙やコート紙,凹凸のあるエンボス紙といった幅広い用紙に印刷しています。また、印刷時にプレコート(紙の表面に印刷適性を高めるための下地剤を塗布すること)が不要のため,紙がもつ風合いを活かせることも特長です。紙厚は薄いものから厚いものまで幅広く対応し,片面印刷で厚み0.06mm~0.6mm,両面印刷で0.06mm~0.45mmの用紙が選択可能で、オフセット印刷と同等な様々な造本装幀に対応します。

3 柔軟なロット対応・低コスト化

印刷のために版を必要としないNDPでは、より小ロット・低コストでの印刷を行うことができます。これにより従来は一定の印刷数量に達せず出版の機会を逸していた美術本や、再版費用の制約により品切れになっていた希少本を必要な部数だけ作成することができます。また、個々の販売機会の需要に応じて初版部数や重版部数の決定ができるので、保管費用や廃棄費用を低減することが可能となりました。

4 短納期

UVで瞬時に硬化する専用インクを使用するため色移りすることがなく、乾燥工程が不要です。また、1枚ずつ違う絵柄を印刷できることで、製本工程も一部を省略し短納期を実現します。

5 大判サイズ印刷

最大B2相当まで印刷が可能です。最大印字サイズは565×720mm、従来より低価格で、高速デジタル印刷機としては最大サイズの出力となります。また、専用のUVインクの耐光性が優れているため屋外広告などの大判印刷などにも向いています。

NDPはどのような経緯で開発された?

当社は高品質な印刷物の製作を強みとして事業を続けてきましたが、2010年代の前半から、出版物の小ロット化や商業印刷物のデジタルシフトなど、従来のような大量生産ビジネスがいつまで続くのかという危機感を持っていました。一方で当時のデジタル印刷は、主に色調品質の面で当社の要求を満足させるものではありませんでした。デジタル印刷に関する研究を行う中で、コニカミノルタのデジタルプリンター共同開発に参画しました。
当社がデジタル印刷の普及に求める最も重要なポイントの一つは、オフセット印刷で使用されている多種多様な用紙が制限なく使えることでした。用紙の選択はブックデザインの重要な要素であり、読者は文字や絵柄を見るだけではなく、ページをめくる時の用紙の質感も一緒に感じていると考えていたからです。この点が解決されたとき当社はオフセット印刷とデジタル印刷を繋げる技術としてNDPを完成したのです。

お客さまの課題に応える、NDPの2パターンのカラーモードと、色調の安定性

NDPでは、大きくふたつのパターンで運用されています。
ひとつは、従来のオフセット印刷とシームレスに代替可能なデジタル印刷というモードです。オフセット印刷物の再版や重版にオンデマンドで対応するため、オフセット印刷と同じ色を同じ用紙に対して、デジタル印刷で再現することをお客さまに約束しています。
もうひとつは,デジタル印刷の色域の広さを最大限活用してオフセット印刷の表現を超 えていくモードです。最初からデジタル印刷しか使わない想定の写真集や美術書についてはデジタル印刷の最大色域を使ったカラー設定を用意しています。
2017年11月に小学館さまより刊行された『運慶大全』は、カラー400ページを超える美術本です。この本は在庫レスでオンデマンド印刷していますが,高級美術本を繰り返し重版する際,印刷のたびに色が変動してしまうことは避けなければなりません。NDPの品質の安定性は,このような小ロット再版モデルを行うには最適です。
また、近年のNDP の活用方法のひとつに「BigBook」というカテゴリーがあります。最大B2サイズの大型写真集は非常に迫力があり、著名な写真家にも支持されています。NDPはその特性を生かしオフセット印刷より大幅にコストを抑えて印刷することができます。また、BigBookでは大型の紙を製本するための高度な製本技術が要求されるのですが、この製本技術に応えるために、NDPの印刷位置精度・表裏見当精度がオフセット印刷以上に正確で安定していることが非常に重要です。

お客さまからのNDPへの評価

写真集においては仏像の重厚な金色や鮮やかな朱色の再現をはじめとして、貴金属や高級自動車を印刷した際の金属の質感,動物の毛並み、サンゴ礁の色鮮やかな生き物の色、漆黒や濃紺など深い色調の濃度感、空や緑の明るい鮮やかさに加えて、滑らかなグラデーションも評価いただいています。加えて当社がNDPの開発で重視した用紙選択の自由度も、デザイナーの方々より好評をいただいています。
NDPは最初のプロダクトが美術系の豪華本だったこともあり、美術書や写真集といったカテゴリーで一定の実績を積み重ねてきました。しかし、高品質と小ロットの両立や用紙選択の自由度は豪華本に限ったメリットではありません。デジタル印刷の自由度は製本様式も多様にしました。よりライトな仕様の写真集やイラスト集でも採用が増えていますし、オンデマンドの特性を活かしSDGs社会に対応したカタログやパンフレット、パッケージなどの事例も出てきています。
日本写真印刷コミュニケーションズ株式会社のデジタル印刷「NDP」について、お気軽にお問い合わせください。