日本写真印刷コミュニケーションズ株式会社

デジタル印刷|コラム


22.04.01

デジタル印刷とは今までの印刷とどう違うの?

基本的な定義

デジタル印刷とは一般的には高級コピー機などで出力する方法などを指していました。しかし、大型デジタル印刷機が普及してきた今は、印刷用のデータから印刷版を介さず、印刷用紙などのメディアに直接印字する方式全般を指すことが多くなってきました。このような解釈をする背景として、印刷物の製造プロセスのデジタル化が関係しています。以下に、デジタル化への進化について説明をしてみたいと思います。

そもそも、印刷とその製造工程は?

デジタル印刷への進化を理解するためには、まず基本的な印刷工程を知っておくことが重要です。印刷とは文字や写真・イラストなどの原稿に対し同じ絵柄のものを、品質を保持しながら、なるべく多数、かつ安く速く、生産つまりは複製する技術です。
さて、印刷の製造プロセスは大きく、プリプレス(PrePress)・プレス(Press)・ポストプレス(PostPress)の3つの工程に分けられます。プリプレス工程は原稿を元にデザイン・文字の入力、すなわちデータ化する工程です。プレス工程はプリプレス工程から受け取ったデータを使用して、対象のメディアに印字します。プレス工程で刷られた印刷物がそのまま納品されることはほとんどなく、ポストプレス工程で断裁や表面加工の他、折・製本加工を経て、最終製品となります。

製造工程のデジタル化

コンピュータの進化・普及とともに、まずプリプレスから印刷物の製造プロセスがデジタル化していきました。デジタル化は工程の短縮化を助長し、中間生成物を減らしました。代表的なところではスキャナやDTP(DeskTop Publishing)の出現によって、版下および製版フィルムによる集版作業がなくなりました。さらにはCTP(Computer To Plate)により、製版データを印刷版に直接焼きこむことができるようになり、今では製版フィルムが使用されることもほとんどなくなりました。これらプリプレス工程のデジタル化は1990年代後半から2000年にかけ、印刷会社内だけでなく制作工程を巻き込む形で進行し、「デジタル製版」として認識されるようになりました。

デジタル印刷がもたらす価値

次の段階は「プレス」工程でデジタル化が始まりました。「デジタル印刷」は印刷版を介さず印字する方法であることを冒頭で述べました。製版工程のデジタル化は製造コスト低減につながりましたが、デジタル印刷がもたらす価値は従来プロセスの効率化とは少し別にあります。用紙を対象とした従来の有版方式の代表格にオフセット印刷方式がありますが、十分に熟成した技術であり生産性が高いことに加え、インキのコストはデジタル印刷よりも低く、まったく同じ内容のものを大量の部数で印刷する場合、コストメリットを生み出します。一方でデジタル印刷は印刷版を無くすことで、少部数生産ではオフセット印刷より有利にはたらくことの他、バリアブル印刷と呼ばれる可変データの印刷を実現します。サステイナブルな社会構築に向け大量生産から適量生産へ移行が求められる中で、求められるロットに応じた印刷機の使い分けが今後必要になってきています。

デジタル印刷機にはどんな種類がある?

デジタル印刷を実現させる印字技術として、代表的な2種の方式があります。まず、一つ目が電子写真方式でトナーと呼ばれる色材が使用され、代表例としてオフィス複合機が挙げられます。最大用紙サイズはA3ノビ対応のものが主流であり、一部長尺ないしはB2対応の機種なども存在しますが、技術革新としては印刷速度および品質の向上や特殊トナー(金・銀や蛍光・クリアニスなど)の開発が盛んになっています。
二つ目はインクジェット方式です。以前からあるワイドフォーマット対応のスタンド型ないしはフラットベッド型の生産機材は国内外の多くのメーカーからリリースされており、出荷台数もかなりの数に上ります。ただし、これら従来型の大型機は印刷スピードの面から色校正用のプルーフやポスター出力などの用途に限定されています。一方で国内メーカーを中心に高速対応のインクジェット印刷機の開発が進んでいます。NDPで使用している主力機はこのフォーマットになります。高速対応のインクジェット印刷機では各色用紙幅と同じ長さ分のインクジェットヘッドを並べ、用紙の搬送機構のみで印字を可能にします。これにより、従来型とは比較にならないスピードで両面への印刷が可能となり、将来にはオフセット印刷に取って代わる可能性も手にしたのです。今ではロール紙を使う輪転型の機械も続々と開発されています。
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