日本写真印刷コミュニケーションズ株式会社

AR・VR|コラム

23.08.09

Web ARとは? Web ARの導入事例から作り方まで徹底解説

AR・VR|コラム

23.08.09

Web ARとは? Web ARの導入事例から作り方まで徹底解説

Webコミュニケーションのトレンド

従来、Webで使われるコミュニケーション素材には、テキスト・画像・動画といったデータが一般的でした。
これに加えて、近年ではPCやスマートフォンの性能がアップしたことにより、リッチコンテンツとして「動画」以外にも、製品を3Dで見せることができる「3DCG・VR」や、スマートフォンのカメラを起動して現実世界にバーチャルコンテンツを配置させる「AR(拡張現実)」が使われることが増えてきています。 スマートフォン画面上に表示されたARのイメージ

Web ARとは(定義と種類)

Web ARとは

Web ARとは、上述の「AR(拡張現実)」の内、スマートフォンなどデバイスのアプリストアからダウンロードが必要なデバイス専用ARアプリを使わずに、SafariやChromeなどのWebブラウザ上でARカメラを起動してARコンテンツが表示できるものを指します。一方、デバイス専用アプリによるARは「ネイティブアプリAR」(以下、アプリAR)と言います。
通常、アプリARを表示するにはデバイスのアプリストアからARアプリをダウンロードして起動する必要がありますが、「Web AR」であれば、スマートフォンに元々あるWebブラウザで、Webサイトにアクセスするだけで体験できるため、アプリをダウンロードする手間が掛からないことがメリットです。
Web ARを提供するには、自社のWebサイトにARビューアーを埋め込むか、Web ARのQRコードを表示することにより、ユーザーがWeb ARを体験できるようになります。
「AR」はカメラを通して現実世界にバーチャル(AR)コンテンツを配置するものですが、そのためには現実世界のどこにARを配置するか、バーチャルコンテンツと現実世界との「位置合わせ」が必ず必要となります。この位置合わせのために、ARカメラは現実世界にある何らかのものを「認識」する必要があります。ARカメラが位置合わせのために認識する対象としては、大きく分けて下記の2パターンがあります。

マーカーを使用するタイプのWeb AR

一つ目は、現実空間にある何らかの「画像」(マーカー)をARカメラが認識して、それを目印にしてARコンテンツの表示位置を現実空間と適合させてAR表示するタイプのWeb ARです。目印となる画像を印刷しておいて、その画像をあらかじめARコンテンツと紐づくように登録しておくことで、カメラで認識した画像の上に、3DCGや動画などのARが表示される場合が多いです。

マーカーを使用しないタイプのWeb AR

ARの位置合わせ方法の二つ目は、ARカメラに床面や地面、壁面などの「平面」を認識させる方法です。 画像認識ARと平面認識の表示イメージARカメラが平面を認識することで、スマートフォンがカメラに映った空間を立体的に把握することが出来るようになるため、ARコンテンツを目の前の床の上に置いたり、壁面にバーチャルなポスターを貼り付けたりするなど、バーチャルなコンテンツが、あたかも目の前に存在しているかのように見せるAR表現が可能となります。
位置合わせのもう一つの技術としては、皆さんがよく知っている「GPS」(人工衛星による測位システム)によって「緯度・経度」を指定してARコンテンツを表示する方法もありますが、通常は指定した正確な位置から数メートル~数十メートルの誤差が出てしまいます。
これに対して、最近のトレンドとしては「VPS」(ビジュアル測位システム)という技術が普及し始めてきました。これは、上述のように目の前の「平面」を認識するだけでなく、目の前の「風景」を丸ごとARカメラに認識させることで、ARコンテンツを配置する場所の「緯度・経度」のみならず、「高度」まで指定でき、さらに表示精度も、たった数センチ~数十センチ程度の誤差で正確な場所を指定してAR表示できる技術です。この技術により、現実世界の特定の正確な場所にARコンテンツが表示されるように、予め登録しておくということが可能となりました。

Web ARのメリットとデメリット

AR体験に「Web AR」を使うか、それとも「アプリAR」を使うのかは、それぞれメリット・デメリットがあります。下記はWeb ARのメリット・デメリットですが、この裏返しがそのままアプリARのメリット・デメリットとなります。

Web ARのメリット

  1. ストアから専用アプリをダウンロードする必要がない
    Web ARであれば、スマートフォンに最初から入っているWebブラウザで閲覧可能なので、新たにアプリをダウンロードする手間が掛かりません。ARビューアーのあるWebサイトにアクセスするだけで体験ができます。
  2. 制作コストが比較的安価
  3. Web ARであれば、既存のWebサイトにARビューアーのみを埋め込むだけでも提供が可能なため、制作期間やコストをコンパクトに抑えることが可能となります。一方、アプリARで独自のアプリを新規開発する場合は、まとまった予算が必要となります。さらに、アプリをアプリストアに公開する場合には審査もあるため、アプリが完成してから公開されるまでに時間が掛かる場合もあります。各社から提供されている既存のアプリを利用して、自社のARを登録することも可能ですが、各社のクラウドサービスを利用することになるため、月額費用が必要となります。Web ARの場合は、自社のWebサーバー上にアップロードすることも可能なため、ランニングコストを安く抑えることも可能です。

Web ARのデメリット

  1. AR表示の品質がアプリと比較すると低い
  2. Web ARの場合、現実世界との「位置合わせ」の精度がアプリARよりも低くなってしまいます。カメラでの認識に若干のタイムラグが発生するため、アプリARほどピッタリと現実世界に位置合わせをし続けることが難しく、カメラを動かすと、少し遅れてARがついてくるような表示となります。
  3. AR表示機能に制限がある
  4. 最近はWeb ARでも可能な機能がだいぶ増えてきましたが、例えば上述したようなVPS(ビジュアル測位システム)による位置合わせや、顔認識のARなどはWeb ARでは実現できないか、精度が低い状況です。ただし、一部の高機能なWeb ARプラットフォームを使うと実現可能な場合もあります。

Web AR活用シーン

Web ARの活用シーンとしては下記のような場面があります。

観光・施設・イベントでの利用

観光地や施設・イベントなどでは、ご当地のキャラクターなどと組み合わせて、ARでのバーチャル2ショット記念撮影などが可能です。撮影小道具・大道具などを一切用意することなく、ARのみで記念撮影ができます。

カタログでの利用

商品を訴求するのに、商品画像だけでなく、3Dで見せることができ、さらにはAR表示で現実の空間に商品3DCGを原寸大で置くこともできるため、より購入後の実感を持ってもらうことができます。

教材、教育関連で利用

ARにより、標本や教材資料などを原寸大で現実空間に表示させることができます。カメラ越しにあらゆる角度から観察したり、細部に近づいて見るといったことが可能です。このため最近では、図鑑にARを活用して対象物をリアルに出現させて見せる、といった使い方も流行っています。

美術工芸品での利用

美術工芸品や文化財などは保存の観点から、なかなか常時一般公開をすることが難しい場合が多いです。このため、作品をフォトグラメトリや3Dスキャンなどでリアルに3DCG化して、ARで現実空間にバーチャル表示させることで、より多くの人の目に触れさせることができます。また、普段展示されている状態ではなかなか見られないような角度から文化財を鑑賞することも容易となります。

当社のWeb AR技術の特徴

日本写真印刷コミュニケーションズでもWeb ARサービスを提供させていただいております。当社では、ARに初めて接するお客さまでも始めていただきやすいように、当社独自アプリだけでなく、既存の様々なARプラットフォームを最適に組み合わせてご提案することで、なるべくコンパクトな予算でスモールスタートをしていただけるようなサポートをしています。

特徴1

AR全般に関する知見や実績により、お客様に最適なARプラットフォームの組み合わせ、3D素材の制作などをご提案し、もっともパフォーマンスの良いAR制作といたします。

特徴2

当社の特徴として、創業より高級美術印刷をご提供してきた経験から、社内に高精細撮影が可能な撮影スタジオを保有しています。国宝や重要文化財等を数多く撮影してきたスタジオにて、現物をリアルに3DCG化する知見もありますので、ARに活用できる素材を制作することも可能です。

Web AR導入の流れ

AR活用の目的をヒアリング、内容決定

お客さまのAR活用目的を確認して、Web ARを含む様々なAR技術プラットフォームの中から最適なものをご提案させていただきます。
他にも、現実世界とARとの位置合わせの目印(画像/床面 など)や、ARを公開する場所(お客さまサイト/当社のクラウド上 など)、AR表示させるコンテンツ・素材(画像/動画/3DCGなど)も決定していきます。決定した内容に応じて、お見積りを提示させていただきます。

Web ARで表示する素材の制作

前述のように、AR表示する素材には、画像・動画・3DCGなどがあります。表示素材としては、お客さまが既にお持ちの画像データなどをAR化して表示するといった、既存コンテンツの有効活用も可能です。
さらに、お客さまがお持ちの「現物」を特殊な方法で撮影し3DCGデータ化(フォトグラメトリ)してAR表示することも可能です。

ARオーサリング

表示する素材が完成すれば、それらをARビューアーで表示させるためのARデータを制作します。ARは現実世界と重ねて表示しますが、現実世界との「位置合わせ」のために画像を目印とする場合は、画像データの登録を行います。

Webサイトで体験

ARデータが完成すると、ARを見るためのARビューアーをWeb上に公開します。お客さまのWebサーバー上に公開する場合は、ARビューアーをお客さまサーバーに埋め込みます。あるいは、予め用意されたARのクラウドサーバー上に公開する場合は、当社にて設定しクラウド上で公開いたします。

Web ARのまとめ

Web ARは、ユーザーがアプリをダウンロードせずにAR体験できるお手軽な方法です。Web ARを使うかどうか、あるいは、どのWeb ARプラットフォームを使うかによって出来ること・出来ないことがありますので、もしご興味をお持ちの方は、ぜひ当社までお気軽にご相談をいただければと思います。

【AR|VRサービスについてはこちらをご欄ください】 3DCGの制作手法
日本写真印刷コミュニケーションズ株式会社のAR・VR・3Dサービスについて、お気軽にお問い合わせください。